Bottle/Exercise/Cypher
なぜ free style ?

変化するもの(更新) と 変化しないもの(恒常性)を考えます。

デリダは『弔鐘』という本で「(マラルメによる翻訳において)ポーの押韻が保持できないのは、もちろんだが、あらゆる階梯で、あらゆるリズムの鼓動 (battement) は、可能な支持体あるいは質料的表面がなんであっても、可能なかぎり保存される」という通念(翻訳されると詩のリズムは消えてしまうというのが普通)とは逆のことをいっているが、どの言葉の上でも、どの支持体のうえでも、恒常性を作り出し自身を保つ支持体を自己生成する「アルゴ ”リズム”」が、ここでデリダのいう「リズム」なのではないか。

佐藤さんは自己生成の支持体を「記憶」と仮定し、神経細胞の淘汰ののちに残るシナプスの特定の組み合わせ=保存された「記憶」こそ、詩のリズム=アルゴリズムが作用したものと見ています。

記憶に残る詩には、記憶に残すためのアルゴリズムが働いている。

そして、紙に文字をしるさず、リリック(詩)を暗記し暗記されるラップ文化に、このアルゴリズムの働きを見ます。

記憶に残るような詩のアルゴリズムを生成する共振の場として、サイファーは即興と暗記によるエクササイズを提起しているのです。

(…と、僕は解しているのですが。)

2010/12/22
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